2017年05月14日

浅間山と富士山、どっちが上か


今毎日見ている浅間山、故郷で毎日見ていた富士山。どっちが上かなんておかしな質問だ。

でも、とりあえず比べてみよう。

高さでは、富士山3776m、浅間山2568mで富士山の勝ち。形の美しさでは、整った山容から富士山の勝ち。登山者数では、2016年登山シーズンで24万8千人の富士山とゼロの浅間山で富士山の勝ち。そもそも浅間山は登山禁止。知名度では「富士山」のご当地ナンバーがあり、世界遺産でもある富士山のダントツ勝ち。

富士山のほうがどう見ても優勢だ。

MtFuji2.jpg

だがおもしろいことがある。富士山の山頂に社が鎮座している。あれは「浅間神社」だ。「浅間」は「せんげん」と読むが、これは「浅間(あさま)」の音読みにすぎない。つまりかの偉大なる富士山のテッペンを押さえているのは「あさま」なんだ。「名を捨てて実を取る」とはこういうことなのだろうか。

FujiSengen2.jpg
(富士山頂の浅間神社鳥居)

私が「どっちが上か」と考えるようになったきっかけは何かといえば、軽井沢に来てから毎日浅間山を見ていることもあるが、一番ひっかかったのは両山の「名前」だ。

富士山の「ふじ」は語源が不明。人によって語源は、大和言葉、アイヌ語、マレー語など様々。漢字としては現在は「富士」だが、「不二」「不死」「不尽」「福慈」などいろいろな字が使われている。しかし全部「漢語」の音読みだ。それが意味するのは、「漢字が入ってきてから付けられた名前」の可能性。もちろん、当て字だという可能性もあるが。

浅間山はどうだろう。「浅間」を「あさま」と読むのは「訓読み」。つまり漢語ではなく大和言葉。語源は、同じくはっきりとはわかっていない。富士山と同じように、「大和言葉、アイヌ語、マレー語などなど」。

しかし、日本には「あさま」と似たような名前の火山がある。「阿蘇山」と「有珠山」。「あそ」「うす」「あさ(ま)」は語源が同じという説がある。「ア行+サ行」の言葉は、「火の山」を表す言葉だったのではないか、と。

富士山は有史以降としては8世紀ごろから活発化し始め、その「火」を鎮めるため「アサマの神」が必要になったとしている。「浅間大神」は、富士信仰にもとづく神社というが、ならばなぜ「富士神社」じゃないのか。「火之神信仰」はすでに「アサマ」が主役だったことを意味しているのではないか。

古代より人々は「あさ」(「ア行+サ行」)のような言葉で火の山を表していたのだろう。

しかし富士山は名称としては、その系統には入っていなかったことになる。「フジ」系統の言葉は、それ以上に大きな意味を持っていたのか。それとも歴史時代に入って漢語にもとづく美称を付けられたのか。つまり美称を付けられるほど、もともとの山の名前はそれほど大きな意味は持っていなかった、ということか。

さらにもう一つ。縄文時代では、比較的暖かかったこともあり自然豊かな内陸部で人の活動が活発だった。特に八ヶ岳を中心とした地域で、古代人の活動は顕著。あちこちに古代遺跡が見つかっている。また、諏訪湖も昔から信仰の中心地で、諏訪神社は縄文時代からの信仰を受け継いだものと思う。つまり浅間山が見える長野県の東信地方や南信地方は、縄文時代、日本の中でも特に栄えていた大文化圏と言える。

富士山は確かに美しい。ただあの美しい姿になったのは地質的には比較的最近のこと。古代人にとっては、あまりに大きすぎて、危険すぎて、近寄りがたく、彼らの生活とはあまり縁がない、と感じていたのではないだろうか。

FujiSengen.jpg
(富士山頂で御来光を待つ登山者)

浅間山は、山としては富士山より小さいので、周りに人が住んでいた。噴火による災害でたびたび人々は甚大な被害を受けたが、少し離れれば人々は生きていけた。そして「アサマ」を見続け、火の山として恐れ敬った。

有史時代に入り、文化的に観念的に美化されてきた富士山。縄文以来、何度も火を噴き今そこにある驚異として畏敬されてきた浅間山。

古代日本人の精神を考えると、浅間山のほうが富士山より上である。そう私には思えてならない。

AsamaYama.jpg


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posted by ロンド at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然の驚異
プロフィール
ブログネームは、ロンド。フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 リュウは、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。