2017年06月27日
寒冷地軽井沢に家を作る、でも寒いのは嫌。夫婦そろって寒がりの私たちが、最も重視したのは高気密高断熱。
(北欧のパッシブハウス)
北欧から来た冬暖かい高気密高断熱の家、「パッシブハウス」のことを知ったとき、ぜひ建てたいと思いました。冬暖かく夏涼しい、しかも低燃費で環境にいい。もともとドイツが発祥の家の省エネ基準だそうです。それが最近やっと日本に来ました(パッシブハウス・ジャパン)。
調べたら軽井沢にも建っています(軽井沢パッシブハウス)。
基本的に高気密高断熱ハウスは、建物の断熱性能を表すQ値、気密性能を示すC値というモノサシで定義されています。
いいなあ、そういうのが建てたい。そして調べました。本格的な「パッシブハウス」となると、基本的に建設費は予算オーバー。我が家では無理でした(でも、ものすごく高いわけではありませんので)。
さらに調べると、そこまでいかなくても十分暖かい家が建てられることがわかりました。
結局、5つの工務店・ハウスメーカーに見積を出してもらい、最終的に高気密高断熱をうたっている大手ハウスメーカーと地元工務店を比較しました。慎重な検討の結果、地元の工務店を選びました。ハウスメーカーのものをのぞき、すべて木造木軸構造です。
私たちが訪ねた工務店は各社、それぞれ暖かい家を作る工夫をしています。一番基本となる「基礎」と「壁」についてだけ、簡単にまとめます。
基礎は、ベタ基礎と、それをひっくり返しにした逆ベタ基礎というのがあります。逆ベタ基礎は、ベタ基礎と違い「地下空間」がなくなるので、地下空間との断熱を心配する必要はありません。
(工事中の逆ベタ基礎)
ベタ基礎も、普通のベタ基礎ではなく、基礎コンクリートの立ち上がり部分をウレタンボードなどで囲ってしまう、という方法がこちらではよく見られます。
また、ベタ基礎だと地下空間(いわゆる床下空間)が生じますので、それを空調のための空間として利用する手法もあります。この工法を採用している地元工務店もあります。
さらに家全体に空気の流通スペースを作り、空気を循環させ、温度の変化を減らす方法もあります(いわゆる「エアサイクル」)。
壁については、断熱材を隙間なく設置することが高気密・高断熱には不可欠です。
1つの方法が、発泡ウレタンのような素材を壁内側に吹き付ける方法です。泡状なのでどんな隙間にも入り込み、時間が経つと固まります。もう1つは、断熱材を隙間なく張り付ける方法です。壁材を断熱材にするようなものですが、隙間なく張り付ければ、気密性は高まります。
(吹き付けられた硬質発泡ウレタン)
高気密高断熱になると、室内外の気圧差が大きくなるので、それに対処するための装置、また換気の際の室内外温度差を低減させる装置が必要になります。具体的には、24時間換気、全熱交換器、同時吸排装置などの設置です。必ずしも全部必要というわけではありません(24時間換気だけはどれも標準です)。
断熱性を高めるには、サッシ(窓等)の多層化も必要です。普通のペアガラスでは物足りません。最近はトリプルガラスが出ましたので、トリプルがお薦めです。
(トリプルサッシと床暖房タイル床)
我が家は、逆ベタ基礎で発泡ウレタン吹き付けで、熱交換器付き換気装置はありません。そこまでの気密性ではない、ということですが、それでも十分暖かいです。サッシは当時発売されたばかりのトリプルサッシ。ほとんど結露がでません。そして全館床暖房と温風のファンヒーター。外が零下15度でも室内は暖かです。
床暖房とファンヒーターの媒体は不凍液なので、身体にやさしく(電磁波はなし)、灯油代も意外とかかりません。部屋ごとの扉は全部開け放しています。床に敷いた布団が暖かいので、我が家にはベッドがありません。ポカポカの布団に潜り込めるのは、至上の喜びです。
薪ストーブは定期的なメンテが大変そうだったので、設置しないつもりでした。でも軽井沢に家を建てるなら、薪ストーブはあったほうがいいという工務店さんの意見を受け入れ設置しました。最も寒い時期、確かに薪数本燃やしただけで室温はすぐ上がりますし、揺らぐ炎は見ていて気持ちが安らぎます。つけてよかったと思っています。
(特等席)
もう一つ、今度家を建てるときは必ずつけると決めていたのがソーラーパネル。2011年の原発事故以来、できるだけ電気を使わない生活をするのが夢でした。
今どきのソーラーパネルは、停電時には今発電している電気がその場で使えます。我が家のソーラーパネル(標準的な4.8kWタイプ)は、雪でパネルが覆われてしまう冬季や梅雨時の数ヶ月をのぞき、発電量が使用量を上回っています。つまり年にすると、売電による売上で収益が出ています。設置にかかった費用の「元を取る」という考えはありませんが、毎月プラスになっているとうれしいです。最近ソーラーパネルをつける別荘も増えているようです。
(雪が積もるとさすがに発電できない)
建物の設備にお金をかけたため、外構工事にお金がまわりませんでした。つまり家ができたとき、家の周りは、一応整地はしてあるものの、荒れ地同然。
でも建物の特に冬用設備を充実するためにお金を使った方が、日常の住み心地は快適になります。荒野のような庭は数年かけるつもりですこしずつ、自分たちでできる範囲は自分たちの手で、整備しています。
(荒れ果てた庭)
*なお、本記事で紹介した情報は、2016年1月時点でのものです。私たちが調べた以外にも、北欧系ハウスメーカーの家など様々な工法があります。設備や技術についても、日々進歩していますので、新しい情報をご確認ください。
*もう夏なので、高気密高断熱住宅の利点について最後に付記します。高気密高断熱なので夏の暑さも遮断しますが、暑さが中に入ってしまうとなかなか出ていかないので、外気温が高くなる前に窓は閉め、夕方涼しくなったら開けると良いと思います。
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住まい
2017年06月20日
先日、軽井沢町の健康診断に行ってきました(「木もれ陽の里保健センター」)。町民であれば誰でも受けられる特定健診です。
内容としては、これまで住んだ東京都の世田谷区、国分寺市などよりも、充実度が低いですね。何しろ心電図検査がないのですから・・・。したがってこの数年心電図を撮っていません。心臓は大丈夫でしょうか。
血液検査の採血はベッドに寝てやってもらいます。座って血を採ると倒れるからです。いつもちょっと恥ずかしいけれど、体質だから仕方ありません。(40代くらいのときに、「通常より過敏な迷走神経反応」が原因だとわかりました。「怖い」などの心理的な問題ではなく、体が勝手に反応してしまうようです。原因がわかってとりあえずホッとしましたが。)
ところで、検診を待っている間、ふと壁面に貼ってあるポスターに目が行きました。その内容に驚きました(そのくらいだと思っていた、と妻は言いますが)。
「一日の適正アルコール摂取量は、20グラム」なんですって。それはビールでいうと中ジョッキ一杯。
我が家はまったく問題ありませんが(夫婦で350mlのビール缶を飲むだけ))、普通にお酒が飲める人たちは、晩酌で中ジョッキ一杯というわけにはいかないでしょう(と、想像しているのですが)。しかも60歳以上だと10グラムに減ってしまいます。一人で350ml缶一本飲んだら、過剰摂取です。
下戸はのぞいて、この基準、守れる人はいるのでしょうか。
私も本当はもっと飲みたいのですが、ちょっとでも飲み過ぎると頭が痛くなってしまい、せっかくの楽しい気分が台無しになるのです。ただそのおかげで、この摂取量上限基準が守れているのですが。
その代わり、甘い物に目がありません。夫婦そろって甘党で、ついお菓子が摂取過剰になってしまいます。これもほどほどにしないと・・・。
検診の結果は2ヶ月以内に通知、とのこと(遅い・・・)。
(砂糖を控えた自家製お菓子でも、食べ過ぎは禁物。)
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健康
2017年06月14日
軽井沢に別荘を建てる。それは価値観が多様化した今でも、仕事をがんばってきた証です。
別荘を見ると、どんな人がどんな思いで建てたのか、その家族がどんな思いで使ってきたのか、など想像してしまいます。あの設計にしたのはなぜ、この庭にしたのはどうして、などつい詮索・・・いやインタビューしたくなります。きっといろいろな物語があるのでしょう。
ところが、追分で森の小径を散歩しているとしばしば「廃屋」のような建物を目にします。どれも建てられてから数十年は経っていると思われる建物です。さらに旧軽井沢の高級別荘地でも廃屋に近い別荘を見ることがあります。
軽井沢に別荘を持つことは、昔ならなおさらその意味は大きかったことと思います。苦労の末建てた別荘が、使われず朽ち果てるままに放置されている。どうしてだろう。不思議に思っていました。
(自分で設計したのでしょうか。ユニークな形状の古い建物)
そこで、なぜ廃屋のような別荘が残っているのか、について自分の観察と分析、それに想像を加え(つまり勝手なことを言っている、ということですが・・・)、さらに不動産売買に関わる人から聞いた話などを合わせ、次のような「物語」を考えました。
・数十年前、軽井沢に別荘を持つことは成功の証。旧軽のような高級別荘地をのぞき、周辺地域では案外土地も手頃、また夏仕様の小さな小屋風別荘なら建築費も安い。だから意外と安価に別荘が持てたのかもしれない。大金持ちでなくともがんばって人並み以上の資産を持てた人たちも軽井沢に別荘が持てた。
・若いときは貧しかった。成功への道は、平坦ではなかったかもしれない。でも一生懸命働いて豊かになった。苦労の分だけ、成功の証である別荘での時間は、至福の一時。人生の満足感と達成感で満ちあふれた別荘での家族との避暑。
・そんな至福の時間も年と共に減っていく。老年となり軽井沢に来るのがつらくなる。そして夏仕様の簡素な建物はしだいに古くなり、使い勝手が悪くなる。
・成功者の子供たちは、生まれも育ちも大都会。大都市の利点を十二分に享受してきた都市生活者。親の苦労も田舎への郷愁も知らない。軽井沢も親とともに何度も通って、もう飽きた。軽井沢とはいえ、田舎の生活。そんな田舎の不便さは、好まない。親の「苦労して成功を手にした達成感」を共有していない子世代は、軽井沢の別荘に強い思い入れがない。
・数十年を経た別荘はすでに老朽化し、ましてや冬はとても暮らせたものではない。補修するにも限度がある。(工務店によると、冬でも使える通年仕様が標準になったのは、ここ十年くらい、とのこと。)
・親の成功は必ずしも子に遺伝するわけではない。世襲の家族経営は別として、親と同じ収入を子供が得られるようになるとは限らない。別荘の大規模補修にかけるお金は出せない。出すだけの価値も見いだせていない。
・ではなぜ売却などの処分をしないのか。古い建物があるとあまり売れない。辺鄙な場所にある場合、なおさら売るのがむずかしい。建物を取り壊して更地にすればいいが、それもお金がかかる。ほっておいても固定資産税がかかる。しかし「軽井沢に別荘があるんだ(親のものだし、もう使っていないけれど)」というちょっとした虚栄心、「そのうち土地だけでも値段が上がるかもしれない」というちょっとした期待感が、固定資産税だけは払おうという気持ちにさせるのかもしれない。
かくして、軽井沢に廃屋のような別荘が増えていく。数はずっと多いと思うけれど、建てたときから高級仕様でさらに時代に合わせ改築されてきた富豪の別荘や、収入などには関係なく親の思い入れを共有できた子世帯がいる家族の別荘(時を経ても使い続けられている別荘とその所有者である多世帯家族を時々見かけます)をのぞき、数十年前に建てられた別荘の一部は、こういう運命にあるのでしょうか。
(旧軽にある件の富豪の別荘)
でも朽ち果てた別荘とはいえ、それは努力の証だったわけで、建てた本人にとっては夢の実現。自分が世を去ったあと廃墟となり果てても、悔いはないに違いありません。「我が人生に悔いなし!」
そのことを思うと、いつも松尾芭蕉のあの有名な句が私の頭に浮かんできます。
夏草や 兵どもが 夢の跡
今年も、生い茂った雑草と木々に囲まれた廃屋別荘を横目に、森の小径を散歩する夏の日々がやってきます。
(追分の小径)
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軽井沢
2017年06月01日
軽井沢の土地について全体的な雰囲気は把握できたでしょうか。私の記事は皆さんにとってはあくまで伝聞情報にしかすぎませんので、ぜひご自分の目で確認お願いします。
(追分、温水路そばの分譲地)
私たちも、土地の様子、特に一日の変化の様子(日照、騒音など)を実際に感じようと、あちこち何度も車で見て回りました。300坪規制がある地域、規制がない地域、(a)(b)(c)の地域を、とにかくあちこち回りました。
「土地を買う」シリーズの最後、その4として、軽井沢のどのあたりに住むと、どこに行くのが都合がよいか、という利便性について書きます。
(a)の東寄りの場所は、軽井沢の中心地に近いところで、旧軽銀座、駅前商店街、プリンスショッピングプラザなどがそばにあります。新幹線の軽井沢駅や碓氷軽井沢インターからも一番近い場所です。ゴルフ場もたくさんあります。レストランの数も一番でしょう。
(軽井沢プリンスショッピングプラザのパノラマ写真)
リゾートとしての軽井沢という意味では、中心地です。
だから、と言ってはなんですが、「軽井沢価格」です。いろいろ値段が高いのです。リゾートですからね。
スーパーがあれば日常生活に便利です。もと「マツヤ」で最近「デリシア」となりオープンしたスーパーが、軽井沢駅から歩いて15分くらいの距離にあります。
(b)の中軽井沢ですが、軽井沢ならではの品揃えで人気の「ツルヤ軽井沢店」は、中軽井沢駅から車では5分もかかりません。歩いて15分くらいです。しかしツルヤ前の道(18号とバイバスを結ぶ道)は、夏や連休だと大渋滞です。入ったら動けなくなることもあるので、ご注意を。
私たちも最初の頃、知らずに大渋滞に入り込んでしまい、身動き取れず、往生したものです。
中軽井沢周辺には、カインズやケイヨーD2などのホームセンターもあります。町役場と軽井沢病院も中軽です。日常生活の買い物や行政関連では中軽が非常に便利です。
また中軽井沢から星野リゾートの「ハルニレテラス」へは車で5分程度で行けます。ハルニレテラスには、温泉もあります。ハルニレテラスを通り過ぎると、千ヶ滝別荘地です。さらに行くと群馬県に入り、鬼押し出の溶岩地形があります。さらに行くと「北軽井沢」があります。こちらも森の中の別荘地が広がっています。
(c)の追分周辺にも、隣接する御代田町にツルヤ御代田店があり、ホームセンターのコメリなどもあるので、便利です。追分住人たちは、御代田の施設を利用することが多いのではないでしょうか。(ちなみに御代田町の追分に隣接したエリアは、「西軽井沢」と呼ばれています。)
私たちが追分を選んだ最大の理由である、「御影用水温水路」もあります。ここは絶好の散歩エリアでもありますし、温水路沿いはちょっと英国にある運河風景にも似ています(と言われています)。
御代田町には、芝生が広く犬の散歩が許されている雪窓公園や龍神公園もあります(軽井沢の湯川公園は芝生は犬禁止)。追分の温水路付近からは両公園まで車で5〜6分です。犬の散歩が気楽にできる広い公園、という意味では追分は恵まれています。
追分は観光でも日常の用事でも、便利なところだと思います。近年、軽井沢の移住先として追分は人気が高まっていると聞いています。(ちなみに、御代田町も、軽井沢町と並んで長野県で人口が増えている数少ない町村の中に入っていますが、御代田町への転入者で一番多いのは、軽井沢からの移住者だそうです。)
以上が、(a)(b)(c)各エリアの利便性についての特徴です。
なお、軽井沢から一番近い庶民的なショッピングセンターがあるのは佐久平です。佐久平は新幹線の駅として作られた新しい街で、人口約10万の佐久市の中心地となっています。駅前にはイオンモールを始め、カインズ、ベイシア、ケーズデンキ、ヤマダ電機など多くの大型店や、ファミレスなどのレストランもたくさんあります。
(佐久平のイオンモール)
佐久平へ一番近いのは軽井沢の西に位置する追分で、距離は11キロ、車で20分ほどです。追分から旧軽までと佐久平までとは、ほぼ同じ距離なのです。我が家はリゾート気分を味わいに軽井沢方面へ、日常の買い物に佐久平方面へ行きます。
軽井沢中心部から佐久平へは距離にして20キロ、車で40分くらい。中軽からは、17キロ、30分くらいです。
追分からは、さらに江戸時代の宿場町風景が今に残る東御市の海野宿まで23キロ30分強、真田で有名な上田へは、34キロ40分程度で行けます。
(いまに残る北国街道の宿場町、海野宿)
以上、軽井沢で土地を買うことについてまとめました。軽井沢に住みたいと思っている軽井沢初心者の皆さんにとって、有意義な情報を提供できたのであれば幸いです。
追分に住んでいるので、ちょっと追分をひいきしすぎたかもしれませんが、ご容赦を。
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posted by ロンド at 18:03|
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軽井沢
プロフィール
ブログネームは、ロンド。フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 リュウは、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。
