2017年08月30日

それぞれのビッグニュース!


ビッグニュースは人によって違います。

ミサイル飛来! そりゃビッグニュースです。私たちの安全に係わってきますから。

天皇皇后両陛下軽井沢でご静養。毎年予定されていることですが、軽井沢住人にとってはうれしいニュースですね。

「追分の大部分が火砕流に覆われていた」、とか「追分キャベツ」は火山弾のようなもの、とか、この周辺に住んでいる人なら、「えっ、そうなの!?」くらいの反応はあるかもしれません。でも私にとっては心躍る発見でした。

金星の雲が金星自体の回転速度より早い速度で動いている(時速90キロ)ことがわかった。一部の科学ファンにはビッグニュースですが、大多数の一般市民にとっては普通の科学ニュースで終わってしまいそうです。

恐竜の子孫は鳥だった! けっこう古いニュースですが、当時は画期的な発見だったはず。映画「ジュラシック・パーク」でもそう言われていました。さらに同映画のシリーズでテーマとなった「恐竜はけっこう頭が良かった」(群で狩りをするヴェロキラプトルのこと)が今では事実として受け入れられています。今後は「ヴェロキラプトルは羽毛で覆われていた」という化石からの発見で、同映画でも「羽毛で羽根が生えたヴェロキラプトル」が登場するかもしれません。

Velociraptor_mongoliensis.jpg
(羽毛に覆われ羽根を持ったヴェロキラプトルの想像図)
[Photo by courtesy of By I, ArthurWeasley, CC 表示 2.5, Link]
 
映画「ジュラシック・パーク」の大ヒットで、かつては恐竜ファンも多かったと思いますが、今は下火ですかね。一般市民にとっては、あんまり興味を惹くものではなくなってしまいました。

さて、本当は人類の成り立ちに関連がある、ビッグニュースがあるのですが、どうもほとんどの人々にとっては「どうでもいい」ことになっているものがあります。

このニュースが報じられたのはもう数年前になります。「人類はネアンデルタール人のDNAを持っていた」というもの。つまり、ホモ・サピエンスとネアンデルタールは交配していた、ということ。しかも、ネアンデルタールのDNAを持っているのは、約6万年前に人類発祥の地アフリカを出たホモ・サピエンスのグループの子孫たち。アフリカに残ったホモ・サピエンスの子孫には、ネアンデルタールのDNAはありません(彼らが純粋のホモ・サピエンスということ)。

これはすごいニュースなのですが、私もあなたもネアンデルタール人が祖先にいる、ということですよ。

だったら何なの。それを知ったからといって、私の風貌が変わるのか、私の生活が楽しくなるのか、私の収入が増えるのか、私の病気が治るのか、と言われても、困りますが・・・

ネアンデルタール人なんて知らない、という方のために、短く人類学の事実を解説します。

今の人類は学名を「ホモ・サピエンス」。ネアンデルタール人は「ホモ・ネアンデルターレンシス」。ネアンデルタール人は約40万年前には発生していたようですが、ホモ・サピエンスの出現は約20万年前です。何から今の私たちの容貌をしたホモ・サピエンスが生まれたか、わかっていません。

ホモ・ネアンデルターレンシスとホモ・サピエンスは系統的に別の人類。ネアンデルタール人がホモ・サピエンスになったわけではない。以前は、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは交配できなかった、あるいは、交配しなかった、と思われていました。

ちなみに、日本語でいう「原人」「旧人」「新人」に相当する英語は存在しません。この3つのくくりは今では不適切で誤解を生むと思います。

かつてネアンデルタール人は、野蛮で愚かな「旧人」で、知恵に勝る「新人」との生存競争に負け滅んだ、とか言われていたものですが、今では「背広着て街を歩いていたら、たぶんわからないかもしれない」と言われるようになりました。大出世です。

image_1837e-Neanderthal.jpg
(背広を着たらこんな感じ、という想像写真。けっこう渋いおじさんになっている)[Photo by courtesy of H. Neumann / Neanderthal Museum]
 
以前は、ホモ・サピエンスがかっこよくてネアンデルタールは醜い風貌と考えられていましたが、事実は逆だったかも。

ネアンデルタール人の方が「金髪、碧眼、筋肉質で今風の彫りの深い美男美女」であって、ホモ・サピエンスの男女がぜひ懇意になりたかった。

Scarlett Neanderthais.jpg
(スカーレット・ヨハンソン風にアレンジしたネアンデルタール女性の想像写真。「ネアンデルタール女性が魅力的過ぎたから、滅んだ」という学者もいる。)[Photo by courtesy of here]
 
あるいは「ネオテニー(幼形成熟。子供のころの特徴が大人になっても残る現象)が特長だった可能性を示唆されているホモ・サピエンスの男女が、子供っぽく見え、ネアンデルタール人に「チャイドル」視されたのかもしれません。

数はホモ・サピエンスのほうが多かったので、必然的にネアンデルタール人のほうがホモ・サピエンスに吸収されていって、純粋なネアンデルタール人が絶滅した、という見方もできるそうです。

遺伝子的には、身体的特徴(肌の色、髪など)やある種の遺伝的疾患、免疫系などもネアンデルタール人由来のものがあると言われています。

恐竜は鳥となって現代に生き残っている。同じように、ネアンデルタールは今、私たちの中で生き続けているのです。

chong.jpg
(今は風になって追分の森を飛び回っている、かつて飼っていたわが家の文鳥「チョン」。この体型、けっこう「ヴェロキラプトル」に似ているんです。)
 
これは私にとって驚天動地のビッグニュースでした。

だからといって、私たちの体が突然マッチョになるわけではなく、私たちの生活が突然豊かになるわけでもないけれど! でも、「多くの様々な人々(人類)が係わって今の私たちがいる」ということを知れば心が豊かになりませんか。


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posted by ロンド at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 人類学

2017年08月19日

童話と神話とこの世の間


軽井沢に移り住んで、気がついたことがある。人によっては当然だ、と言われるかもしれないが、3年前まで都市部にしか住んだことがない私にとっては新鮮だった。

それは軽井沢のような自然溢れる地域には、今でも「桃太郎」の世界があることだった。

そう、ご存知桃太郎の鬼退治に同行した家来たち、犬、猿、雉。この3種の動物は軽井沢では身近である。

kiji.jpg
(「ケンケーン」と鳴いて羽ばたくキジ。散歩でよく見かける)
 
この「犬」だが、何犬なのか気になる。調べたら、特定の犬種を意図しているわけではなさそう。ただ昔からいる犬ということで、そうなると柴犬が妥当、ということである。

わが家のワンコは外国産のプードルだから、鬼退治には行けないかな。

sad_liu.jpg
(えっ、ぼく戦力外!?)
 
「金太郎」に相撲で投げられた熊もいる。こちらに引っ越して初めての春、「熊が冬眠から目覚めました」という町役場からのメールにはちょっとビビった。

ニホンザル位置情報、「群れの位置は、千ヶ滝中区・・・」というメールも毎日配信されている。

時代劇の世界もある。水戸黄門など時代劇にはよく登場する「ピーヒョロヨロヒョロ」と鳴いて空を飛ぶ鳥。あれがわが家の上空にも出現する。調べたら「鳶(とび)」だという。昔はあちこちにいたのだろう。

tobi.jpg
(悠然と空を舞うトビ)
 
近所で夜な夜な、外に置いてあるサンダルがなぜか片方だけなくなる不思議な事件が発生。犯人は子ギツネらしい(おもちゃとして集める習性があるとのこと)。

「超高速! 参勤交代」の映画で、山中道なき道を急ぐ一行を脅かしたのが「オオカミ」だった。自分の記憶では、オオカミが出てくる時代劇は他に見たことがない。当然、江戸時代に狼はたくさんいたのだろう。

日が落ちてから、中山道や北国街道を歩くのは危険だったはず。外灯があるわけでもなし、真っ暗だ。ところが満月になると驚くほど夜中でも明るい。それも軽井沢に来てから体験したことだ。

ニホンオオカミは残念ながら、明治時代に絶滅してしまった。今でも人が襲われることがある熊や猪などより、人にとっては脅威が大きかったのだろう。小柄とは言え、やはり「オオカミ」だった。今となってみれば、とても残念だ。

神話の世界もある。「甲賀三郎伝説」の龍神だ。

dragon.jpg
(御代田町の龍神の杜公園にて年一度の龍神祭りのリハーサル。この龍神は全長45メートル)
 
千年以上昔の話。地面の穴に落とされた甲賀三郎が地下世界を彷徨したのち、地上に出てきたら(真楽寺の池)、竜体になっていて、あまりに大きすぎるので諏訪湖に落ち着いた、という伝説(今も湖底にたたずんでいるという)。

現代の童話といえるファンタジーアニメ「もののけ姫」に登場する動物もたいてい軽井沢にいる。

イノシシは出くわしたら怖いらしい。ご近所さんが姿は見ていないが「鳴き声」は聞いたという。聞いたこともない鳴き声だからすぐわかる、と言われた。

ニホンカモシカも最近軽井沢で増えているとのこと。写真を見たら、ニホンカモシカの顔は「シシ神」の顔に似ている。

「シシ神」の夜の姿である巨大な「デイダラボッチ」は、さすがに見あたらないが、伝説でいえば「甲賀三郎」の「龍神」が、その神聖さと巨大さから、デイダラボッチに相当するかもしれない。

dragonpond2.jpg
(御代田町の真楽寺にある、龍神となった甲賀三郎が地上に現れた、と言われている沼。池から顔を出している竜は、もちろん本物ではない。)
 
科学技術が進んだ現代でも、森林大国である日本には、「けもの」たちがあふれている。そして軽井沢の森は、今でも童話の森であり神話の森である。


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posted by ロンド at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然の驚異

2017年08月09日

もう一つの「おもてなし」


軽井沢は「かるいさわ」が本来の読み方だったが、軽井沢を保養地として開発した外国人たちが、「Karuisawa」では発音しにくい、というので、「Karuizawa」と発音するようになった、というのは有名な話。

今では一般に「かるいざわ」と呼ばれているが、地元の人たちは今でも「かるいさわ」と言っている。私はもちろん外様なので「かるいざわ」だ。

仕事柄、「言葉の音」には興味があり、なぜ「さ」が「ざ」になるのか考えてみた。調べるといろいろ理由があるのがわかる。一般的に日本語では「清音」が「濁音化」する傾向があるようだ。これは世界的にもそうだが、基本的に発音は「言いやすい方、楽な方」に流れる。

日本語のそうした「発音のルール」は外来語でも現れる。

泡がぶくぶく出る風呂は、「ジャグジー」と今では呼ばれている。もとは英語 jacuzzi であり、カタカナ表記すると「ジャクーズィ」だった。最初はカタカナでも「ジャクージ」だったと思うが、次第に「日本語化」していって、ついに「ジャグジー」になった。

jacuzzi2
(Jacuzzi は創設者の名前をとった会社。英語で Jacuzzi といえば、一般的に同社のジェットバス製品を差す。しかし日本では商品名としても「ジャグジー」を使わざるを得なくなった、とか)
 
最初から英語の jacuzzi として知っていた私は、今何と発音したらよいか葛藤がある。今どき「ジャクージ」と言ったって通じないだろうから。

同様に、relaxation 「リラクセーション」を「リラグゼーション」、ペットを入れる携帯式の入れ物 cage (かご)「ケージ」を「ゲージ」と言う人が増えてきている。

技術通訳をしていると、専門用語に出くわすことが多く、元の英語がわからない用語もある。

「アッテネーター」。これを聞いたときはまったくわからず、あとで attenuator (アテニュエイター、減衰器、信号を減衰させる装置)だということがわかったときは「そりゃ、アッテネータ!!」と心の中でうなったものだ。

こういう読みは、意図的なものではない。英語の発音をどうするかというより、それ以上に新しい技術や知識や文物を取り入れたいという意欲が強かった時代ゆえの現象と思われる。

sometimes を「ソメチメス」と読んで覚えた、という笑い話がある。これは決して発音をおろそかにしたわけではなく、当時日本人にとって英語の発音はむずかしかったので、とりあえずローマ字読みのように読んで覚えた、という発展途上時代の日本を象徴するお話。

ベトナム戦争を描いた衝撃的アメリカ映画 Platoon は「プラトーン」(1986)だった。今なら、KAT-TUNというグループがあって、日本全国「カトゥーン」と発音しているので、この映画も「プラトゥーン」という邦題になったことだろう。

Platoon_posters_86.jpg
(「Platoon」のポスター。監督のオリバー・ストーンはベトナム従軍経験があり、撮影現場ではPTSDで苦しんでいたとのこと)
 
acoustic は音楽用語として「アコースティック」と呼ばれている。導入したのは音楽業界の人たちだと思われるが、その当時でも「アクー」の音は発音できたはず。英語話者との付き合いも多かったはずなのに、「アコー」とした理由がわからない。たしかに「アクー」より「アコー」のほうが発音は楽なのだが、時代のせいだとしておこうか。

だが現在、英語は氾濫し、正しい英語の発音もすぐ調べられるし聞くことができる。帰国子女も留学経験者も多い。それなのに、こうしたことをすべて無視したかのような悪例の読み方が一つある。

それは、bullet (弾丸)だ。

これを映画業界では「バレット」と読んでいる。but の u は「ア」だが、bullet, bull, bully, bullwork などは「ウ」と読む。さては、知ったかぶりの英語読みなのだろうか。

だが、これら映画関係者は「英語の音を映画で聞いてわかっているはず」だし、字幕翻訳者もいるのだから、その翻訳者は「bullet はブリットであって、バレットではありません」と一言助言しなかったのだろうか。

bullet を「バレット」として読んだタイトルの映画は、スタローンの「バレット」(現代 Bullet to the Head)、チョウ・ユンファの米映画「バレットモンク」(Bulletproof Monk - 直訳は「防弾の僧侶」)などがある。

「ブリット」という邦題の映画は私の知る限りでは一つだけある。あのスティーブ・マックイーンが刑事を演じサンフランシスコの街中をカーチェースするスタイリッシュな映画「Bullitt」(1968)。これはマックイーン演じる刑事の苗字である。もちろん bullet (弾丸)と音を掛けた名前であることは明らか。マックイーンがかっこよかった。

Bullitt_poster.jpg
(「Bullitt」のポスター。このホルスターはモデルとなった刑事が実際に使っていたものと同じだという。)
 
日本映画界で bullet を「バレット」と読むのは、(1)「中途半端な知識とケアレスミスの二重誤謬」か、(2)「ブリットという音は耳障りなので、わざとバレットにした」か、(3)「Barrett (バレット)というカッコイイ響きの狙撃銃の名前を借りて、同系の物である弾丸 bullet の日本語読みとした」か。

私としては、(3)は深読みしすぎなので、(1)に間違いないと思っているが、(2)だったら英語という言語に失礼ではないか。理由があるなら、教えて欲しい。

いずれにしても、映画界に限らないが、日本人は英語の発音を尊重しない傾向がある、と私は思っている。その現れが、「バレット」だと思う。

そして良くも悪くもエリートが集まっていると思っていたNHKも、ついに墜ちてしまった。今年の5月まで放送していた窪田正孝、北村一輝主演のドラマ「4号警備」。最終話で、「警備対象を守るため身をもって銃弾を受ける」任務の警備員を差して「バレットキャッチャー」と言っていた。これはショックだった。ああ! "Et tu, NHK?"

「4号警備」の脚本家や監督や関係者は、bullet catcher の発音を確認しなかったのだろうか。その周辺に留学経験者や帰国子女はいなかったのだろうか。それとも一旦誰か上の者が決めたことは、誰も修正できないのだろうか。

私の通信社勤務時代、外国語読み方ハンドブックのようなものがあった。それは、放送業界で作る「放送用語委員会」が日本語における外国語表記をどうするか真剣に悩み討論し結論に達した結果をまとめた用語集。

例えば、「wear」を「ウエア」にするか「ウェア」にするか、など。

基本的にその言葉の原音を重視していた。一昔前だが、フランスの高速増殖炉 Superphenix というのがあって、これを日本語では「スーパーフェニックス」としたが、実際はフランス語。ただこの言葉のフランス語音は日本人にはなじみがないし、基本的にこれは国際プロジェクトなので英語の音を基準にした、という。委員たちは真剣に考え抜いてこういう結論に達したわけだ。

報道界ではこうして一所懸命かつ真摯に、外国語原音を尊重しながら、日本に入ってきた経緯や使われた歴史、日本語発音の限界など様々な要因を考慮し、読み方を決めている。

もし「バレット」を使っている人たちが、すべて承知のうえで意図的に原音を無視し響きが良いと感じられる音を使っている、のだったら、「何をか言わんや」だ。

生きるため豊かになるためには英語が不可欠な国々が多いなか、英語はそこそこ日本語ができれば生きていけるほど国内産業が大きい国、日本はやはり大国だったということか。

でもやはり原音には敬意を払って外国語を使いたい。それも「おもてなし」ではないだろうか。


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posted by ロンド at 19:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 英語
プロフィール
ブログネームは、ロンド。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。今年還暦に。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 ロンドは、フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 リュウ(13歳)は、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。