2018年01月18日

アイスクリーム仕込みの英語


新年4日、所用と犬の散歩を兼ねて、軽井沢プリンスショッピングプラザに行った。追分からは車で20分ほど。我が家のワンコはショップが立ち並ぶプリンスが好きだ。どの店にも入りたくてしかたない。軽井沢は犬にやさしい町。プリンスも犬が入れる店がどんどん増えている。
 
プリンスは、気温ほぼ0度にもかかわらず、たくさんの観光客でにぎわっていた。ちょうどよい人混みだった。広大な敷地を吹き抜ける風は冷たい。散歩といっても長い時間外にはいられず、少し歩いては、買い物のあてはないながら、店に飛び込んで暖をとっていた。

DSC00128.JPG
(暖かい店内に入れるとうれしい)
  
台湾や東南アジアからの観光客も多く、よく考えてみたら、彼らが着る厚手のコートは日本旅行専用に調達したものなのだろうか。店内ではたいてい英語で店員と会話をしている。
 
そして、アイスクリーム(ソフトクリーム)を手に歩いている若者を何人も見かけた。この極寒のなかちょっと信じられない光景。

DSC00129.JPG
(氷点下に近かったのではないかと思えるほどだが、「コディバ」のソフトクリームを食べている人は多い・・)
 
アイスクリームと英語といえば、思い出すことがある。
 
若き日、とあるアイスクリームチェーン店の六本木店で働いていたことがある(21か22の時)。少しでも英語に慣れようと思って、そこを選んだ。大使館の多い土地柄もあってたくさんの外国人が来店していた。
 
当時、英検1級は取得していたが、いろいろあって実は外人恐怖症というか、外国人が怖いわけでなく、英語で外国人と話すことができなかった。
 
その後いろいろ苦労して克服することができたが、このアイスクリーム店での経験は大きかった。

同僚のアルバイト従業員もそれなりに英語が話せたので(場所柄少しは英語がわかる人が採用されていた)、来店する外国人と英語で話すこともあった。
 
また、話すこととは別に、同店では英語の生の発音について非常に勉強になったことがある。
 
それは、数十あるアイスクリームフレーバーの読み方だった。フレーバーはすべて英語なので、日本ではすべてカタカナ表記になっている。だが、カタカナを読んでも外国人には通じないことがある。
 
逆に、突然ネイティブ発音でフレーバー名を言われても、日本人には聞き取れないかもしれない。例えば、Chopped Chocolate は「チョップト・チョコレート」だが、ネイティブの発音をあえてカタカナで書いてみると、「チャッ・チャカリ」のように聞こえるからだ。
 
Chocolate Chip は「チャカリ・チッ」。Rocky Road は「ラッキー・ラウ」。Jamoca Almond Fudge は「ジャモウカ・アーモン・ファッ」などなど。
 
客が多くない時は、How do you pronounce it? とか言って、実際の発音を教えてもらったりした(ネイティブ発音といっても、実際にはアメリカ人が多いのでアメリカ英語である)。
 
重要なのは、例えば「チャッ・チャカリ」では、chopped chocolate だから、「チャッ(プト)・チャカリ(ット)」の括弧の部分も音には出ないかも知れないが、口の中で形成しないといけないということ。
 
実はこの聞こえないけれども音として存在する部分が、英語の発音はもとより聞き取りでも重要なのだ。
 
例えば、I can do that. と I can't do that. では、ほとんど同じように聞こえることがある(「アイ・キャン・ドゥー・ザット」)。だが、can't のほうは「キャン(ト)」という「ト」の部分があるので、そこだけ一拍時間があくのだ。それを認識できると、英語の聞き取りがよくできるようになる。
 
また、アイスクリームには欠かせない banana と vanilla は日本語では「バナナ」「バニラ」と同じ調子だが、英語では「バナーナ」と「ヴァニラ」と音とリズムが違う。banana の「ナーナ」と長母音のところ、vanila の「ニ・ラ」のニから「l(エル)」のラに移るところの音の変化。そしてもちろん b と v(唇を噛む)の違い。ネイティブ発音だと、けっこうな音の違いがあり、唇と舌を含めた口全体の動きは忙しい。
 
こうしたフレーバー名は、リズム良く歌うような感じで言わないと、なかなかネイティブ的な音にならない。例えば Rocky Road。rock'n roll ではないが、「ラッキーラウ(ドゥ)」(もちろん「ラ」は巻き舌の r であって、日本語の「ら」ではない)と本当に体を左右に揺らし歌うように発音したくなるほどだ。

icecream.jpg
(この丸くアイスクリームをすくう = スクープ scoop =のが初めはちょっと難しかった。常に一定量にしないといけないからだ。)
  
当時もちろん発音の基礎は学習済みで、知識として知っていたし、生の発音もラジオや教材や映画などで聞いてはいた。だが目の前で実際にネイティブが発音して、それを真似てみるというのは、貴重な実地体験である。留学でもしていれば、これが日常体験なのであろうが。
 
ということで、私の英語の発音はアイスクリーム仕込みである。
 
ちなみに、私の一番好きなフレーバーは、Jamoca Almond Fudge 。このお店、おわかりのとおり「サーティーワンアイスクリーム」だが、これは日本だけの名前。本国アメリカでは Baskin Robbins であり、31という数字は「一ヶ月毎日違うフレーバーが楽しめる」というコンセプトから来ているとのこと。1945年の創業以来、1300種類以上のフレーバーが作り出されているそうだ。全部食べた人いるのだろうか。


読んでいただきありがとうございます。
クリックして応援いただけるとうれしいです。

↓↓↓
にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 北佐久郡軽井沢町情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村

posted by ロンド at 16:36| Comment(4) | TrackBack(0) | 英語

2018年01月08日

そばのある暮らし


「そばと言えば信州」そう思っていた。でも生産量日本一は北海道。長野は2016年収穫量では茨城、山形に次いで四番目(5位の福井を含め、2位から5位まで生産量にあまり違いはない)である。
 
軽井沢に越してきて、よく食べるようになった食材はもちろんそば(ついでジャム)。おいしいそば屋さんがあちこちにあるのでよく行くようになり、自宅でも毎日食べるようになった。
 
まず毎朝食べるのが、そば粉入りヨーグルトいろいろミックス。最初にそば粉をそばがき風に熱湯で溶いて、オーツ、ヨーグルト、きな粉、抹茶、黒ごま、ミルク、青汁、最後にジャムを入れ混ぜて、我が家の朝食ができあがり。

soba1.jpg
(熱湯をそば粉にかけて「そばがき」)
  
そば粉を入れるようになったのは、こちらに来てから。「そば粉に熱湯を注いでかき混ぜる」ので、いわゆる「椀がき」に相当する。最初はヨーグルトにそば粉をそのまま混ぜていたのだが、そば粉は、そのまま食べることを想定していないそうなので、念のため「椀がき」にすることにした。
 
そういえば、真田信繁の時代は「そばがき」が主な食べ方だった。NHK大河ドラマ「真田丸」でも、真田信之が九度山に配流された昌幸と信繁にそばを送るシーンがあり、そこでは「そばがき」の食べ方しかなかったことが描かれている。
 
麺としてのそばの作り方が考案され、それが普及したのは江戸時代になってからのこと。外国にも麺風のそばはあるものの、日本の麺としての「そば」(「そばぎり」)は日本独特の製法らしい。外国人観光客にとっても「蕎打ち体験」は人気で、軽井沢の外国人向けツアーコースにも「蕎打ち体験」が組み込まれていると聞いている。

soba2.jpg
(軽井沢ガイド協会の研修にて、小諸の中棚荘で行われた蕎打ち体験。この旅館では外国人観光客に英語で蕎打ちを説明しているとのこと。)
  
外国料理としてのそばで私たちがよく食べるのは「ガレット」。フランスのそば粉入りクレープと言った感じの料理で、美味しいガレット店は軽井沢にもある。我が家でもときどき食べに行く。これがおいしい。

soba3.jpg
(長倉にある「カシェット」のガレット)
 
本場のガレットも店や地域によって具やソースなど様々な種類があるそうだ。
 
最近人気なのは、そば粉ではなく「そばの実」。健康に良い栄養素がたくさん含まれているとのこと。

例えば、疲労回復効果のあるビタミンB1、良質なタンパク質、必須アミノ酸であるリジン、ダイエット効果のある「レジスタントプロテイン」(分解されにくい食物繊維的働きを持つタンパク質)、さらに血管を強化し高血圧を防ぐ「ルチン」などが含まれていて、それらがまるまる摂れるということで、近年人気が上昇している。
 
ルチンは「そば湯」から大量に摂れるので、そば湯は必ずいただくことにしている。ルチン豊富な「そば湯」を飲む習慣は、信州で生まれたそうだ。
 
我が家では毎食後のお茶に「そば茶」を混ぜて飲んでいるので、私たちの血管は丈夫である(と期待する)。
 
時々そば粉を買いに行く小諸市の大西製粉で聞いてみたら、日本中から「そばの実」の注文が来ているとのこと。そこでそばの実を買ってみることにした。

soba4.jpg
(大西製粉で売っている様々なそば商品)
 
早速、大西製粉のホームページでも紹介されている「ロシアの家庭料理そばの実カーシャ」を作ってみた。基本のカーシャはけっこう調理が簡単。

soba5.jpg
(そばの実を洗ってから、空煎りし、塩と水を加えて、水がなくなるまで加熱する)

soba6.jpg
(最後にバターを絡めて、できあがり。ヨーグルトとハチミツを混ぜてもよい)
  
お味は・・・うーん、塩味もバター味も薄くて、無味に近い。ロシア人にとってはご飯みたいなものなのだろう。お米のご飯も、それだけで食べるわけではなく、おかずと一緒に食べる。そばの実カーシャも、いろいろな調理法があるようだ。
 
今度は、炒めた挽肉、玉葱、ニンニクを混ぜた「炒飯風カーシャ」を作ってみよう。
 
ロシアはなんと世界一のそば生産量・消費量を誇る、そば大国だった。知らなかった。
 
ちなみに、すでに縄文晩期には日本に来ていた「そば」は、もともと「そばむぎ」と言っていたそうで、「そば」とは「角張った」という意味。「角張った実の麦」が本来の意味。「そばむぎ」の「むぎ」が省略されて「そば」と言うようになったとのこと。
 
英語では buckwheat だが、語源は「ブナ+小麦」。「ブナの実(角張っている)」のような「麦」という意味で、偶然にも命名法は日本と同じ。

soba7.jpg
(確かに角張っている実)
  
中国南部が原産と言われるそばは、痩せた土地でも成長し、救荒食物としても昔から重宝されている。これで栄養満点、健康によい、ダイエットによい、となれば、食べない手はない。
 
ワンコと一緒に室内で食べられるそば屋さんは軽井沢でもなかなかないので(テラスで食べられる店はいくつかある)、冬はそば屋さんのそばからは遠ざかるが、自宅ではそばを摂らない日はない、という我が家。長野に越してきてよかったことの一つが「そばのある暮らし」である。


読んでいただきありがとうございます。
クリックして応援いただけるとうれしいです。

↓↓↓
にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 北佐久郡軽井沢町情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村

posted by ロンド at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | おいしいもの
プロフィール
ブログネームは、ロンド。フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 リュウは、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。