2017年05月21日

マイ・ホーム・イン・オイワケ


「ホーム (home)」ってなんだろう。普段はあまり考えませんが、一般的には「マイ・スイート・ホーム」、暖かい家庭、がホームですかね。

私にとって、A home without a dog is just a house. 「犬のいないホームは、ただのハウスである」なんです。我が家には犬が一匹いるので、我が家は「ホーム」なのです。

A home without a dog is just a house.

実はこの言葉、先日行ったとある動物病院の壁に掛かっていたプレートに書かれていたものです。

IMG_9653.jpg

この言葉は、home と house の定義をよく表しています。home は日本語で言えば、「我が家(わがや)」。house はただの建物としての「家」。

仕事柄、様々な文献を当たり、適切な英単語や英文を参考にするためよくネット検索をします。あるとき、このような文章を見つけました。

Judith Carboni, a nurse, described home as “a lived experience that possesses deep existential meaning for the individual.”

ジュディス・カルボーニさんは、Homelessness among the Elderly”という書物で「老人介護施設」の在り方を問うた看護師でもある老人学の研究者で、home を上記のように定義付けしているのです。直訳すると、「個人にとって深い実存的意味を持つ、人が暮らしているという経験」ですが、よく意味がわからないので、意訳してみます。「ここで本当に生きて暮らしているんだ、という実感があること」が home。

そして homelessness 「ホームレスの状態」は、the negation of home、つまり「上記の意味でのホームというものが存在していないこと」と言っています。私の解釈では、「生きて暮らしているという実感がないこと」が「ホームレス」なのです。

さらに、home の特徴として7つ挙げています。(1) identity, (2) connectedness, (3) lived space, (4) privacy, (5) power and autonomy, (6) safety and predictability, (7) the ability to journey out into the world。

これを自分なりに解釈したいと思います。

(1) は日本語でも「アイデンティティ」と言っていますが、「自分が自分であること」。home では「自分が自分であることがわかる」ところなのです。

(2) は、みんな(家族)とつながりがあること。単身であっても、隣人や遠くの家族とのつながりも home があれば可能だ、ということでもあると思います。「住所不定」では誰かとつながりを持つのは難しいです。

(3) は、居住空間、自分が住んで暮らしている空間があること。これはよくわかりますね。

(4) は、プライバシー。これもよくわかりますね。避難所生活ではプライバシーを確保するのは至難の業です。

(5) は、「権限と自主性」ですが、まあ「自分で自分の考えで何かをやることができる、許される」ことで、例えば刑務所などのようなすべて命令のもとで許可を受けないと自分のしたいことができない所とは違う、ということだと思います。

(6) は、「安全と予見可能性」ですが、安全はもちろん自分の家にいれば安全です。予見可能性とは、何が起きるか予想できるような状態ということです。自分の家ですからね、何がどこにあって、何をすればどうなるか、はわかります。それも自分の家ならではです。

(7) は、「世界に旅立てること」ですが、これはつまり「ウチとソト」の関係を言っているのだと思います。また、例えば子供のように自立できるほど育ったら、社会に出て行くこと、言い換えると、外の世界に出ていくまで、home にて自立できるまで安全に育つことができる、ということだと思います。

home_for3.jpg
(理想的なホームのイメージ写真)

これらが home の特性、とジュディスさんは言っているのです。この方は、home とは何かをじっくりと考えたのでしょうね。なんだか、home がとても居心地が良く大切なところのように思えてきます。

逆に言えば、人間にとってこういう場所がないと、社会における人間としての生活ができないような気がします。

ちなみにカルボーニさんは、この定義にもとづき老人介護施設というのは homelessness の状態であるかもしれない、ならば老年期の人間にとっては介護施設は必要なのだろうか、と疑問を呈しているのです。考えさせられますね。

さて、ジュディスさんの言う home と我が家のワンコはどういう関係があるのでしょうか。簡単に考えると、(2)の connectedness に関係すると思います。犬も人類にとって同種の人間以外で初めての家族の一員となった生物です。太古から犬は home の一部だったに違いありません。

jump_liu.jpg
(「ここがぼくのホームだ」)

でも、犬がいないお家でも、この7つの特性があれば、りっぱな home ですから、誤解なきよう。

ちなみに、上記の動物病院には、cat バージョンもありました。ウサギもハムスターも小鳥も、きっとみな同じですよね。


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posted by ロンド at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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プロフィール
ブログネームは、ロンド。フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 リュウは、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。