2018年08月04日

嵐の夜に - 妻の鬱々


夫(ロンド)は子供の頃工作が得意だった、今は忙しくて時間がないからできないと言う。実際このところも徹夜仕事が続いている。

ちょっと前、やっと休みがとれて、以前から懸案だった「落ち葉や枯れ枝を入れておく」1メートル四方ほどの箱を作った。近所でもDIYで作った落ち葉入れが庭によく置いてある。

夫はベニヤ板など材料一式買ってきた。ちょっと薄いんじゃない、と思ったが、とにかく1日がかりで作り上げた。見かけはとりあえず「落ち葉入れ」である。夫は早速落ち葉や抜いた雑草などを入れていた。

森の中の家に落ちる葉っぱの量は半端ではない。毎年軽トラ一杯では足りない。落ち葉は積み上げておくわけにもいかず、軽井沢町の有料指定ゴミ袋に入れて出しているが、新鮮な(?)落ち葉はかさばって、袋をたくさん使うことになる。雨がかからない蓋付きの落ち葉入れに入れておけば(天気が良いときは蓋は開けておく)、次第に減容して新鮮なときより二倍近くゴミ袋に入る。

という計画だった。

数日後、少し雨と風の強い夜があった。朝起きて見てみると、あの落ち葉入れは、物の見事にまるで何も作らなかったかのように、それぞれ元の材料に分解され地面に落ちて広がっていた。

笑うしかなかった。どんな工作をしたら、こんなに見事にバラバラになるのだろうと不思議だった。

友人に事の顛末をメールしたら、うけたので、ブログ記事にしようと夫に読んでもらったら、一瞬悲しそうな顔をした。そのとき、あの日からかわれても平静を装っているように見えた夫が、実はかなりのショックを受けていたことを知った。

夫は今度の休みに、ネットで買った郵便ポストを設置する予定だ。ポストの支柱2本を30センチ地面に埋めて、コンクリートで固める作業だ。「落ち葉入れ」より高度な作業に思える。貴重な休日が無駄にならないことを祈っている・・・。

Pieces of wood.jpg
(落ち葉入れの残骸。いつも写真で記録を取る夫だが、今回は最初の出来から満足感がなかったのか、完成時の写真がない。崩れたときの写真も当然撮っていない。これは台風前に材料が飛んではいけないので一部まとめたところ。)
 
先日の普段とは違う動きをした大型台風。風向きが普通の台風と違っていたせいか、隣家の20mほどの高木が、南側にある我が家に倒れた。かのニセアカシアだ。まだ空が真っ暗にはなっていなかった夜8時前。ちょうど窓から見ていた。「あれ、すごく傾いでる」と思っていたら、あれよあれよと我が家のカーポートの前に倒れた。

直径20cm、高さ20mほどの木が隣家の入口を挟んで2本、ツインタワーのように立っていた。ヒョロ長くいつも風に大きく揺れ、素人目に見ても倒れそうな木だった。そのうちの南側の1本が倒れたのだ。被害を最小限にするには、ここに倒れるしかない、という位置を狙ったような奇跡的な倒れ方だった。

その晩は10時過ぎに停電となり、結局復旧しなかったので、寝ることにした。翌朝早起きして倒木を見に行こうと思っていたが、倒木直後に施工会社の担当者経由で手配してもらった撤去業者さんのインタホンで起こされた。木はすでにチェーンソーで切られていて、倒れたままの全体像を見ることも写真に撮ることもできなかった。一生に一度(にしてほしい)の体験なのに、取り返しのつかない朝寝坊だった。

Fallen tree.jpg
(倒木の一部分。ニセアカシアなので枝にもトゲがいっぱい)
 
撤去の業者さんも「うまい具合に倒れたもんだ。家に倒れなくてよかった」と驚いていた。

庭は、植栽した木の一部の枝が折れ、金属のフェンスが約3メートルにわたり押しつぶされていた。

一番の被害は、カーポート前の「転圧された砂利面」が、撤去作業で使われたバックホーによりぐちゃぐちゃ(転圧が緩み小石が剥がれた)になったことかもしれない。

あのスローモーションのような倒木の瞬間、今も目に焼き付いている。「バキバキ、ドサッ」という音はしなかった。もともと暴風雨ですごい音がしていたし、フェンスがクッションの役割を果たしたこともあったのだろう。

我が家にも高木はあるので、人ごとではない。夫が中部電力と軽井沢町に電話して、倒木の場合の対処方法について聞いた。驚いたことに、例えば台風で木が倒れ町道を塞いでも、電線を切っても、町や中電は「撤去費用を請求しない」のだそうだ。

実質的被害が何十万何百万であっても不可抗力なので請求されない、と聞けばとりあえず一安心かもしれない。でもそれで良いのだろうか。

森の中に家を作ると、どうしても切らなければならない木はある。木が減ると、余計に風圧がかかるようになり、森のままだったら倒れなかった木も倒れる可能性がある。

町も中電も倒木の除去費用や被害を請求しないのだったら、倒れそうな木だなとわかっていても、自分で事前に伐採せず台風に任せておけば、万が一倒れても、町や中電が処理してくれる、というとんでもない考えを持つ所有者が出てきてもおかしくない。

そういう場合は「理不尽ですよね」と、夫は町にも中電にも言っていた。でも自然災害なので、しかたないようだった。

都会から来た土地の購入者は、木に対しては素人の人も多く、私たちのようにほとんど無知だったりするので、開発業者や外構業者の人がきちんと査定・判断し、倒木の恐れがあるものは最初から伐採するよう、また自分の土地の木々についてはきちんと管理するよう購入者に助言してもらいたいものだ。

今回の我が家のように被害は少なく被災者は一人(一軒)でも、倒木の持ち主(地主)は撤去費用を払わなければならない(少なくとも請求する人はいる)。それなのに、町道を塞ぎ電線を切って多くの人々に迷惑をかけても、費用は一切発生しないのだ(請求する人はいない)。

なんだか不平等に思える・・・。本当に自然災害でどうしようもなく被害を出してしまった場合はもちろん別だけれど(そちらのほうが圧倒的に多数だろうけれど)。

管理放棄と不可抗力との違いを第三者がどう判断するか、むずかしいのかもしれない。森に住む住人として、想定外も考慮してきちんと管理したい。

強風が吹くと、追分の木々は大きく枝と幹を揺らし、しならせている。嵐の夜にはいろいろなことが起きるものだ。

それもまた森に住むということなのかも。


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posted by ロンド at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然の驚異
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プロフィール
ブログネームは、ロンド。フリーの翻訳者(日英)。自宅にてiMac を駆って仕事。 2013年に東京の多摩ニュータウンから軽井沢の追分に移住。 同居人は、妻とトイプードルのリュウ。 リュウは、運動不足のロンドを散歩に連れ出すことで、健康管理に貢献。 御影用水温水路の風景に惹かれて、「軽井沢に住むなら追分」となった。