寒冷地軽井沢に家を作る、でも寒いのは嫌。夫婦そろって寒がりの私たちが、最も重視したのは高気密高断熱。

(北欧のパッシブハウス)
北欧から来た冬暖かい高気密高断熱の家、「パッシブハウス」のことを知ったとき、ぜひ建てたいと思いました。冬暖かく夏涼しい、しかも低燃費で環境にいい。もともとドイツが発祥の家の省エネ基準だそうです。それが最近やっと日本に来ました(パッシブハウス・ジャパン)。
調べたら軽井沢にも建っています(軽井沢パッシブハウス)。
基本的に高気密高断熱ハウスは、建物の断熱性能を表すQ値、気密性能を示すC値というモノサシで定義されています。
いいなあ、そういうのが建てたい。そして調べました。本格的な「パッシブハウス」となると、基本的に建設費は予算オーバー。我が家では無理でした(でも、ものすごく高いわけではありませんので)。
さらに調べると、そこまでいかなくても十分暖かい家が建てられることがわかりました。
結局、5つの工務店・ハウスメーカーに見積を出してもらい、最終的に高気密高断熱をうたっている大手ハウスメーカーと地元工務店を比較しました。慎重な検討の結果、地元の工務店を選びました。ハウスメーカーのものをのぞき、すべて木造木軸構造です。
私たちが訪ねた工務店は各社、それぞれ暖かい家を作る工夫をしています。一番基本となる「基礎」と「壁」についてだけ、簡単にまとめます。
基礎は、ベタ基礎と、それをひっくり返しにした逆ベタ基礎というのがあります。逆ベタ基礎は、ベタ基礎と違い「地下空間」がなくなるので、地下空間との断熱を心配する必要はありません。

(工事中の逆ベタ基礎)
ベタ基礎も、普通のベタ基礎ではなく、基礎コンクリートの立ち上がり部分をウレタンボードなどで囲ってしまう、という方法がこちらではよく見られます。
また、ベタ基礎だと地下空間(いわゆる床下空間)が生じますので、それを空調のための空間として利用する手法もあります。この工法を採用している地元工務店もあります。
さらに家全体に空気の流通スペースを作り、空気を循環させ、温度の変化を減らす方法もあります(いわゆる「エアサイクル」)。
壁については、断熱材を隙間なく設置することが高気密・高断熱には不可欠です。
1つの方法が、発泡ウレタンのような素材を壁内側に吹き付ける方法です。泡状なのでどんな隙間にも入り込み、時間が経つと固まります。もう1つは、断熱材を隙間なく張り付ける方法です。壁材を断熱材にするようなものですが、隙間なく張り付ければ、気密性は高まります。

(吹き付けられた硬質発泡ウレタン)
高気密高断熱になると、室内外の気圧差が大きくなるので、それに対処するための装置、また換気の際の室内外温度差を低減させる装置が必要になります。具体的には、24時間換気、全熱交換器、同時吸排装置などの設置です。必ずしも全部必要というわけではありません(24時間換気だけはどれも標準です)。
断熱性を高めるには、サッシ(窓等)の多層化も必要です。普通のペアガラスでは物足りません。最近はトリプルガラスが出ましたので、トリプルがお薦めです。

(トリプルサッシと床暖房タイル床)
我が家は、逆ベタ基礎で発泡ウレタン吹き付けで、熱交換器付き換気装置はありません。そこまでの気密性ではない、ということですが、それでも十分暖かいです。サッシは当時発売されたばかりのトリプルサッシ。ほとんど結露がでません。そして全館床暖房と温風のファンヒーター。外が零下15度でも室内は暖かです。
床暖房とファンヒーターの媒体は不凍液なので、身体にやさしく(電磁波はなし)、灯油代も意外とかかりません。部屋ごとの扉は全部開け放しています。床に敷いた布団が暖かいので、我が家にはベッドがありません。ポカポカの布団に潜り込めるのは、至上の喜びです。
薪ストーブは定期的なメンテが大変そうだったので、設置しないつもりでした。でも軽井沢に家を建てるなら、薪ストーブはあったほうがいいという工務店さんの意見を受け入れ設置しました。最も寒い時期、確かに薪数本燃やしただけで室温はすぐ上がりますし、揺らぐ炎は見ていて気持ちが安らぎます。つけてよかったと思っています。

(特等席)
もう一つ、今度家を建てるときは必ずつけると決めていたのがソーラーパネル。2011年の原発事故以来、できるだけ電気を使わない生活をするのが夢でした。
今どきのソーラーパネルは、停電時には今発電している電気がその場で使えます。我が家のソーラーパネル(標準的な4.8kWタイプ)は、雪でパネルが覆われてしまう冬季や梅雨時の数ヶ月をのぞき、発電量が使用量を上回っています。つまり年にすると、売電による売上で収益が出ています。設置にかかった費用の「元を取る」という考えはありませんが、毎月プラスになっているとうれしいです。最近ソーラーパネルをつける別荘も増えているようです。

(雪が積もるとさすがに発電できない)
建物の設備にお金をかけたため、外構工事にお金がまわりませんでした。つまり家ができたとき、家の周りは、一応整地はしてあるものの、荒れ地同然。
でも建物の特に冬用設備を充実するためにお金を使った方が、日常の住み心地は快適になります。荒野のような庭は数年かけるつもりですこしずつ、自分たちでできる範囲は自分たちの手で、整備しています。

(荒れ果てた庭)
*なお、本記事で紹介した情報は、2016年1月時点でのものです。私たちが調べた以外にも、北欧系ハウスメーカーの家など様々な工法があります。設備や技術についても、日々進歩していますので、新しい情報をご確認ください。
*もう夏なので、高気密高断熱住宅の利点について最後に付記します。高気密高断熱なので夏の暑さも遮断しますが、暑さが中に入ってしまうとなかなか出ていかないので、外気温が高くなる前に窓は閉め、夕方涼しくなったら開けると良いと思います。
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